税金と社会保障。社会保障と長寿は密接した関係にあります。新聞記事より長寿について税理士の立場から解説します。
平均余命とは
平均余命とは、例えば2016年に生まれた人達が何歳まで生きられるかを示す数値の事です。戦後間もなくは50歳程度だった数値が右肩上がりに伸び通げています。医療の発達と健康に対する関心の高まり、食生活の改善による影響が大きいと言われています。
また、日本では男性よりも女性の方が5歳程度長いのが特徴です。
平均余命の実情
平成29年7月28日 日本経済新聞朝刊より引用
女性の各年齢の生存率(平成28年生まれを基準)
- 40歳時点の生存率:99.0パーセント
- 65歳時点の生存率:94.3パーセント
- 75歳時点の生存率:87.8パーセント
- 90歳時点の生存率:49.9パーセント
- 95歳時点の生存率:25.2パーセント
数値だけを確認すると何と女性の2人に1人は90歳まで生存出来る事になります。
みなさんはこの数値を少ないと思いますか、それとも多いと思いますか?私は想像していたよりもとても多く感じます。次の項目で平均余命が伸びる事による弊害について書いてみたいと思います。
平均余命が伸びる事による弊害
平均余命が伸びる事は喜ばしい面も確かにあると思います。しかしながら、この平均余命は五体満足でいられる年齢の事ではありません。ある程度意思疎通が出来て自分で生活出来る事を健康年齢と言いますが、この健康年齢はおよそ70歳中頃までと言われております。つまり、平均余命が90歳になると言う事は誰かの手助けがないと生活が出来ないと言う事になります。
平均余命が伸びる事による弊害を箇条書きにしてみました。
- 年金支給の財源の問題
- 介護保険料の財源の問題
- 介護業界の人手不足の問題
- 医療費の財源の問題
- 現役世代の介護による世帯収入の減少
- 現役世代の保険料負担に対する不満の問題
このように平均余命が伸びる事は必ずしも良い方向とは言えないものがあります。
まとめ
平成28年に生まれた女性の平均余命は伸びており2人に1人は90歳まで生存する計算になります。この平均余命は健康年齢とは異なり誰かの手助けが必要になります。そのため、社会保障、税金などの負担の問題、現役世代との負担と受益の不公平感など問題が生じます。税理士の立場から申し上げるとある程度の自己負担による老後資金の確保のために備えておく必要が生じている世の中になったのではないかと考えております。