法人税の計上時期は税理士により様々ですが、金融機関に提出する決算書では統一されております。税理士の立場からなぜ税理士によって計上時期が異なるのかまた、金融機関の視線でも分かりやすく解説します。
法人税の計上時期の問題
法人税は会社の利益に課される税金です。例えば設立1期目で100万円の利益が出た場合には15万円法人税が掛かります。この記事で問題にしているのは法人税15万円を1期目に計上するのか、それとも実際に支払う事となる2期目に計上するのかを問題としております。税額については1期目2期目のいずれで計上しても影響はありません。
法人税の計上時期の原則(金融機関)
日本税理士会連合会などを中心に中小企業もある程度統一的な会計処理をしていこうと中小企業会計指針が公表されております。中小企業会計指針は決算書項目につて指針に沿って会計処理がなされているかをチェックするものです。基本的に全ての項目でYESにならないと評価の対象になりません。
中小企業会計指針は様々な項目のチェックリストがありますが、その中でもどの会社にも影響するものとして法人税の計上時期に関する項目があります。1期目の利益に対する法人税は1期目に計上しましょうと言うのが中小企業会計指針の考え方です。2期目に支払った法人税は単に1期目の法人税を支払った事に過ぎないからです。金融機関はまず税引き後の利益を確認します。
私の法人のお客様も全て決算期に対応した法人税を計上しております。決算書に未払法人税等が計上されているか否かで簡単に分かります。
法人税の計上時期を支払いベースで計上する理由
利益が出ている会社で、決算期に対応した法人税を計上する事は、税理士の立場で言うと面倒なのです。詳細は割愛しますが、法人税はお金が出て行くものですが、税金の計算上経費にはなりません。税金の経費にならないのに法人税として決算期に対応させる事は二度手間になります。
- 法人税の金額を出すために一度税額の計算をする
- 1.で求めた法人税の金額を決算期に対応させるため未払法人税等を計上する
- 未払法人税等は決算期の経費ではないため税金の計算上経費から差し引く
このように税額の計算をして決算書に計上し、更に税金の計算上経費にならないので差し引く手間が掛かります。
一方、決算期には取り敢えず税金の計算だけ行い支払った決算期で法人税を計算すると一工程手間が省けます。そのため、70代以上の税理士はこの方法を採用している割合が高いです。
税金に影響がないから楽な方で良いやと言う考えが大きいのかと思います。
まとめ
法人税の計上時期は発生ベースと支払いベースがあります。金融機関は税引き後の利益を重視するため、税額に影響がなくとも発生ベースで計上しましょう。適正な会計処理がなされているかは決算書の負債の部に未払法人税等として計上されているか確認すればすぐに分かります。