個人事業者が金融機関から借り入れを行った場合の借入金の表示について法人と比較しながら分かりやすく解説します。
法人の場合のまとめ
法人で借入金があるときは、おおまかに言って決算期の翌期に返済しなければならない借入金については短期借入金と長期借入金に区分して決算書に表示しなければならないと記事にしました。
法人が借入金の区分を表示しなければならない理由は会計の基準で定められているからです。
法人は利益を求める組織ですので、数値を厳密に管理する必要があります。これは損益を中心に考えた場合です。
借入金は資金繰りにも大きく影響します。そのため資金繰りの面からも細かく管理把握する必要があります。株主がいる事も影響しております。
個人事業の場合は区分しなくてよい
個人事業の場合は区分する必要はありません。区分しなくて良い理由については次の項目で書いていきます。
個人事業が区分しなくてよい理由
個人事業の場合、借入金があっても短期借入金と長期借入金に区分する必要はないと書きました。
その理由についてはまず箇条書きにしたいと思います。
- 法人と違い個人事業には株主がいない
- 法人は原則として決算公告をしなければいけないが個人はしなくて良い
- 個人事業は少人数で行っている事が前提のため経理に力を入れられない
- 個人事業では決算書が指定されている
- 個人事業は税金をしっかり払い、借入金を返済すれば良い
1.についてですが、法人は株主がいます。
株主は会社で一番立場が上になります。
経済上では会社に対して配当を請求する権利があります。
2.についてですが、株式会社は会社法が施行された現在でも官報などに決算公告をしなければなりません。
最低限でも貸借対照表(バランスシート)は公告しなければいけません。
そのため短期借入金と長期借入金に区分する必要があります。
3.についてですが、個人事業ではガチガチに経理をする事が現実的には難しいです。
最低限度の経理をしておけば良いでしょうと税務署側でも認識しております。
このような法人と個人で異なる規定はありますのでまた別の機会に記事にします。
4.についてですが、法人は決算書のフォーマットが自由です。
個人事業の場合は収支内訳書や青色申告決算書などのようにフォーマットが指定されております。
余白に新たな科目を使用して計上する事も出来ますが、手間もかかります。
5.についてですが、個人事業の場合は他者に決算書を見せる機会が少ないと言う意味になります。
まとめ
借入金がある場合の決算書の区分について記事にしました。
法人では翌期に返済しなければならない借入金とそれ以外の借入金を区分して決算書に表示しなければいけません。
個人については他者に決算書を見せる機会も少ない事や経理の手間を考慮して簡略した決算書が認められているため借入金を短期と長期に区分する必要はありません。