税務調査は、脱税をしている企業だけでなく、通常の経営をしていても行われることがあります。
「うちは関係ない」と思っていても、いつ税務署から調査の連絡が来るかわかりません。
本記事では、法人税の税務調査を受ける確率と調査対象になりやすい企業の特徴・対策方法について、税理士の視点からわかりやすく解説します。
法人税の申告状況と
黒字・赤字法人の割合
国税庁の「令和2事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、令和2年度に提出された法人税の申告件数は約301万件で、前年より6万件増加しています。
法人全体のうち約90%が申告を行っており、そのうち黒字申告は全体の35%。つまり、約3分の2の法人は赤字申告という状況です。
税務調査は黒字企業を中心に行われますが、意図的に赤字にしているケースなどもあるため、赤字法人でも調査対象になる可能性があります。
税務調査を受ける確率は
約3年間で12.8%
税務署が事務所などに訪問して書類を確認する「実地調査」は、1年間で約10万件前後実施されています。
また、電話・書面・来署依頼などの「簡易接触」を合わせると、3年間で12.8%の法人が調査を受けている計算になります。
数字上は「23年に1度」とも言えますが、実際には活動実態のある企業や利益を出している法人ほど、調査を受けやすい傾向があります。
税務調査を受けやすい業種とは?
国税庁の『令和2事務年度法人税等の調査事績の概要』では、不正発見割合が高い業種として以下が挙げられています。
- バー・クラブ
- 外国料理
- 美容
- 医療・保健
- 土木建築関係(一般・職別)
- 生鮮魚介卸売
- 中古品小売
- 医療関連サービス
これらは現金取引が多く、実態把握が難しい業種です。
また、自動車部品製造・貿易・情報サービス業などのように不正所得の金額が大きくなりやすい業種も重点的に調査が行われています。
売上や利益に急変がある企業は
要注意
売上が急増したり、経費の増加で利益が急に下がったりしている企業は、税務署が注目するポイントです。
急な節税対策を講じている企業の中には、意図せず脱税に近い処理をしてしまっているケースも見受けられます。
売上と経費の動きが不自然な場合は、調査対象になりやすいため、早めの確認と対策が必要です。
税務調査を回避するための
3つのポイント
① 適正な申告を行う
追徴課税は、申告内容に誤りがある場合に発生します。
正しく申告していれば、仮に調査を受けても追加の納税が発生することはありません。
まずは「誤りのない申告書」を作成することが何より大切です。
② 帳簿・領収書を
整理・保管しておく
調査では、売上除外や経費の否認が最も多く指摘されます。
支出を証明する領収書・請求書を破棄せず保管し、帳簿の整合性を保つことで、調査リスクを大幅に減らせます。
③ 税理士に申告を依頼する
税理士が関与している法人は、計算ミスや不備が少ないため、税務署からの信頼度が高く、調査対象になりにくい傾向があります。
税務調査の観点からも、税理士に依頼するメリットは大きいといえます。
まとめ:日頃の適正申告と
専門家のサポートが
最大の防御策
大企業は確認目的の調査を受けることがありますが、中小企業の場合は、正しい申告と日常的な帳簿管理で調査リスクを大きく下げることが可能です。
節税対策を行う際は、行き過ぎた処理をしてしまわないよう、専門家に相談しながら進めましょう。
当税理士事務所では、錦糸町の会社設立・創業支援をはじめ、法人税申告や税務調査対策のご相談も承っております。
調査リスクを最小限に抑えたい経営者の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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